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午後Ⅱ論述試験概説 システムアーキテクト 問1

こんばんは。Cobbyこと小林 健了です。

本日からは、平成27年度「システムアーキテクト」の午後Ⅱ論述試験に関し、
私なりに概説していきたいと思います。

第1回目は、システムアーキテクト 問1 「システム方式設計について」です。
問2 「業務の課題に対応するための業務機能の変更又は追加について」と比較すると、
顧客対応が主業務のSEや開発作業に詳しいというわけではない方にとっては
選択しやすかったでしょう。他方、システムアーキテクトとその他のスペシャリスト系を
決定的に分ける業務への理解、システム化対象と人手作業の切り分け、業務部門への
説明といった点は、確実に論述しきる必要があります。
難易度は普通と判断します。
それでは、設問文、問題文から、どのような論述が求められていたかについてみていきましょう。

設問ア あなたがシステム方式設計に携わった、対象の業務と情報システムの概要を、
それぞれの特徴を含めて800字以内で述べよ。

1.1 業務の概要及び特徴
まず前提として、システムアーキテクトの論述では「業務」と「情報システム」を明確に
書き分けてください。この書き分けが、システムアーキテクトとその他のスペシャリスト系を
決定的に分けるポイントと考えます。
業務の概要については、各自で準備します。業務の特徴については、問題文内の
例示から、以下のようなことを記述します。
・対象業務は重要な作業であり、業務上のミスが他の業務に大きな影響を与える。
・対象業務には標準的な作業と例外的な作業があり、標準的な作業の実施頻度が高く
 例外的な作業の実施頻度は低い。

1.2 情報システムの概要及び特徴
ここでも、「業務」と「情報システム」を混同しないように留意します。
情報システムの概要については、各自で準備します。情報システムの特徴については、
問題文内の例示から、以下のようなことを記述します。
・標準プロトコルを介した外部との通信が求められる。

設問イ 設問アで述べた情報システムで、どのようなシステム要件を実現するために、
どのようなシステム方式を設計したか。業務プロセスへの効果、実現可能性などの決定理由を
含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

2.1 実現するシステム要件
ここでは、システム方式を設計する前の段階、つまり要件定義段階で確定したシステム要件を
記述します。問題文の例示に従い、QCDの観点で記述します。
・業務の品質向上という要件
 →どのような業務? どの程度の向上?
・低コストでの業務の効率化
 →どのような業務? どの程度のコスト削減?
・開発期間を短くする
 →開発期間は何か月? オリンピックのように期限が明確なイベントを目標にしている?

2.2 設計したシステム方式
ここでは問題文の例示にレベル感を合わせて記述します。
・例1「(前略)すべてソフトウェア開発の対象に含めた。」
・例2「(前略)実施頻度が高い作業をソフトウェア開発の対象にし、開発すると費用が掛かるが
 手作業で実施す手も業務運用上大きな問題にならない作業は、人手で実施することにした。」
→問題文冒頭の「ハードウェア、ソフトウェア及び人手による作業をどのように組み合わせて
 システム要件を実現するか」にあたります。
・例3「(前略)ソフトウェアパッケージを活用する」
→単に「ハードウェア、ソフトウェア及び人手による作業をどのように組み合わせて」という
 観点だけでなく、活用するツールについても記述可能です。
 ただし、ソフトウェアパッケージの原則は「業務をソフトウェアパッケージに合わせる」
 ですので、設問ウの利用者の理解度を高める工夫がより重要になります。

2.3 決定理由
決定理由は、「業務プロセスへの効果」「実現可能性」に大別されます。
「業務プロセスへの効果」については問題文の通りに情報システムの稼働後の業務の
処理時間短縮、品質向上、運用コスト削減についての決定理由を記述します。
「実現可能性」については適用技術、開発コスト、開発期間、セキュリティ技術、運用性、
保守性についての決定理由を記述します。

留意が必要な点は、決定理由で品質向上、コスト削減、開発期間という、
「2.1 実現するシステム要件」と重複する項目があるとしても、必ずしも両者は
一致しない、ということです。「2.1 実現するシステム要件」は顧客と合意した事項、
「2.3 決定理由」で記述する事項は「2.2 設計したシステム方式」で設計した結果の
試算値を記述します。当然ながら、「2.1 実現するシステム要件」より優れた値であれば
優れた設計のため採用決定、「2.1 実現するシステム要件」より低い値であれば
不採用、という論述になります。

設問ウ 設問イで述べたシステム方式設計の結果を説明する際に実施した、利用者の理解度を
高める工夫を、実例を含めて、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

3.1 利用者の理解度を高める工夫
問題文には例があるので、観点を活用します。
・情報システム稼働後の業務の全体像を示して業務部門の役割分担を明確にする
・業務担当者の利用するシステム機能を業務フローに明示して情報システムの利用局面を示す

3.2 実例
問題文には例示はありません (当然といえば当然) が、実例を示します。
問題文に例示はないとは言っても、設問イから設問ウに向けてのつながりが、問題文には
ありません。
そのことからも、実例としては、システム方式設計の内容を具体的に業務の全体像や
業務フローに変換したときのやり方を示し(H.21問1に例示あり)、これをプレゼンテーションの
工夫 (H.25問2に類題あり)としてどのように業務部門に説明したか、を示せばよいと
考えられます。

ここまでお読みくださいまして、ありがとうございます。
「情報処理教科書 高度試験午後II論述 春期・秋期」に体験記を寄稿しておりますので、
是非ともお読みくださいませ。


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プロフィール

小林 健了

Author:小林 健了
取得資格: 中小企業診断士、技術士(電気電子部門、総合技術監理部門)、情報処理技術者 (ITストラテジスト等) 。主にITや製造現場の観点から、企業経営、コンサルティング、技術について情報提供してまいります。

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